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   劇場そっちのけで、DVD/BDや衛星放送を利用して映画を家で見るという、およそ映画ファンとしては許すまじき趣向を重んじるブログです。

05.15.16:07

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02.14.01:05

名匠暁に死す

g01.jpg 又一人、昭和の名匠が逝きました。市川崑氏、九十四歳の一生でした。

かの有名な「東京オリンピック」論争で、映画監督らしいストイックな姿勢を世に知らしめ、作品でも「ビルマの竪琴」以降”市川崑流”を着実に確立し、特定のジャンルに囚われず、文芸作からアニメ作品まで幅広いジャンルを手掛けつつも、どの作品も見れば直ぐに氏の作品であることが判るというのは、氏の自分流の確立が確かなる物であったことを再認識させてくれます。

 最近になって庵野秀明の「新世紀エヴァンゲリオン」のタイトルテロップが市川崑のテロップの使い方のリスペクトであることが有名になったり、岩井俊二が「市川崑物語」と、現存の一監督の伝記的映画を監督したりと、日本の映画界に与えた影響は世代を超えて計り知れない。

 個人的には、市川崑と言えばやはり東宝の金田一耕助シリーズである。それまで幾度か映像化された横溝の金田一シリーズだったが、かの有名なボサボサ頭に小汚い風体の金田一耕助像を確立したのは、他でもない市川崑と言える。

 また、氏は自分の作品を二度リメイクしている。1つは出世作とも言える「ビルマの竪琴」、1つには金田一シリーズの原点「犬神家の一族」。特に「犬神家の一族」は、 70年代の金田一ブームの頃(ブームを作ったのは他でもない市川氏だが・・・)他社に権利を持って行かれ監督できなかった「八墓村」を、90年代になって漸く機会を得て監督した際に、金田一役を某若手俳優に配したところ、原作に忠実との一定の評価は得た物の作品としてはらしさが薄れていて、そういう意味ではやはり石坂浩二=金田一に余程未練があったのか、平成版「犬神家」では再び石坂を金田一に配して自らリメイクするという、非常に珍しいリメイクとなった。何のためのリメイクなのかが当時は正直疑問だったのだが、今思えば何処ぞの誰かにリメイクという名の蹂躙を受けるなら自分でリメイクした方が良いと思ったのかも知れない。そういう意味では、「犬神家の一族」そして「ビルマの竪琴」の二作には、市川崑が特に思い入れがあったのかも。

 あと忘れてならないのが「細雪」。市川の妻 故和田夏十は、四十代で癌を患い、1983年に逝去しているが、かの「市川崑物語」を見れば、死しても市川作品の脚本は彼女と市川との共同執筆であると、市川崑は考えているのじゃないだろうか。で、「細雪」はまさに和田夏十が逝去した83年に完成した作品なのだが、原作である谷崎の名著「細雪」は、非常に内容の濃い超長編小説であったと言うこともあり、それを僅か2時間程度で描ききる自信が市川には無かったそうだが、それを巧みなアレンジで凝縮して描くことを指南したのが、当時病床にあった和田夏十であったと言われる。事実。市川の「細雪」は見事完成し、市川崑の代表作として挙げられる逸品となった。監督であり脚本家であった市川崑であったが、監督の夫と脚本家の妻という夫婦の二人三脚を、たとえ妻が死しても崩すことがなかったと思えてならない。

 一映画ファンとして、感謝の念尽きぬ中に、その九十四年の生涯に思いを馳せ、氏の数々の作品を回顧しながら手を合わせる。合掌
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