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   劇場そっちのけで、DVD/BDや衛星放送を利用して映画を家で見るという、およそ映画ファンとしては許すまじき趣向を重んじるブログです。

05.14.17:33

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02.16.12:33

また一人・・・・

701140.jpg 訃報は一週間ほど前のことでしたが、ロイ・シャイダーが逝去されました。七十五歳だったそうです。ここ最近は多発性骨髄腫という癌の中でも難病とされる病を患い、ブロディ署長の如き闘志を以てジョーズの如き病と激闘を繰り広げましたが、遂に力尽きたとのこと。

 ロイ・シャイダーで一番思い浮かぶのは「JAWS」でしょうか。確かに「フレンチコネクション」でのオスカー獲得がブレイクの切っ掛けとはいえ、あれは主役じゃありませんでしたからね(助演男優賞)。「オール・ザット・ジャズ」でのジョー役ではオスカー主演男優候補に挙げられたりもしたが、80年代以降の出演作はロクな物が無い。しかしながら「2010年」でのフロイド博士役と「ブルーサンダー」でのマーフィー役は私的に思い出深い。キューブリックの不朽の名作「2001年宇宙の旅」の続編である「2010年」は、原作では正式な2001年の続編になっているが、映画版では製作者がアホすぎたというか、当時最も大きな問題だった米ソ冷戦構造や対共産主義社会のイデオロギーであるとか、木星の生命体についての描写が削除されたりであるとか、描く世界が数十年後の2010年の出来事であることをスッカリ忘れてしまったかのような演出が多く、そういう意味では本来2001年宇宙の旅並に神秘性に富んだ作品になる筈が、単なるSFサスペンスになってしまっていて、主演したロイにとっても彼のキャリアの付加価値とは成らなかった。また「ブルーサンダー」では、低予算でありながら世のメカヲタ共を熱狂させるに余りあるアクション映画になったものの、有名になったのは俳優ではなく機械としての攻撃ヘリ”ブルーサンダー”であり、ロイは主演でありながらカレーの福神漬けのような扱いにされてしまっている。そういう意味では、80年代以降はツキが無い俳優人生だったのかも知れない。

 クソ偉そうな意見としては、この人は主役ではなく脇役で芸を磨けばもっと違った魅力を沢山放てたのではないかと思う。先述のような作品中の役所での印象も悪くはないのだが、「マラソンマン」「蜘蛛女」「レインメーカー」等での主人公を引き立てる脇役の妙技は、主役を演じたときよりも印象に残っているのだ。そういう意味では、彼自身かエージェントかは知らないが、映画界の中に彼自身の確固たる居場所を持てない状況を生み出し続けたという意味で、80年代から90年代に掛けては模索に明け暮れた俳優人生だったのかも知れないと、ついつい想像してしまう。

 最後に見たのは「パニッシャー」での、主人公の父親役。「お!ロイ・シャイダーやん」と思わせてくれたと思ったら、速攻で死んじゃう役でした。でも、「お!」と思わされた時点で、ロイ・シャイダーの勝ちだったんでしょうな。

合掌
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02.14.01:05

名匠暁に死す

g01.jpg 又一人、昭和の名匠が逝きました。市川崑氏、九十四歳の一生でした。

かの有名な「東京オリンピック」論争で、映画監督らしいストイックな姿勢を世に知らしめ、作品でも「ビルマの竪琴」以降”市川崑流”を着実に確立し、特定のジャンルに囚われず、文芸作からアニメ作品まで幅広いジャンルを手掛けつつも、どの作品も見れば直ぐに氏の作品であることが判るというのは、氏の自分流の確立が確かなる物であったことを再認識させてくれます。

 最近になって庵野秀明の「新世紀エヴァンゲリオン」のタイトルテロップが市川崑のテロップの使い方のリスペクトであることが有名になったり、岩井俊二が「市川崑物語」と、現存の一監督の伝記的映画を監督したりと、日本の映画界に与えた影響は世代を超えて計り知れない。

 個人的には、市川崑と言えばやはり東宝の金田一耕助シリーズである。それまで幾度か映像化された横溝の金田一シリーズだったが、かの有名なボサボサ頭に小汚い風体の金田一耕助像を確立したのは、他でもない市川崑と言える。

 また、氏は自分の作品を二度リメイクしている。1つは出世作とも言える「ビルマの竪琴」、1つには金田一シリーズの原点「犬神家の一族」。特に「犬神家の一族」は、 70年代の金田一ブームの頃(ブームを作ったのは他でもない市川氏だが・・・)他社に権利を持って行かれ監督できなかった「八墓村」を、90年代になって漸く機会を得て監督した際に、金田一役を某若手俳優に配したところ、原作に忠実との一定の評価は得た物の作品としてはらしさが薄れていて、そういう意味ではやはり石坂浩二=金田一に余程未練があったのか、平成版「犬神家」では再び石坂を金田一に配して自らリメイクするという、非常に珍しいリメイクとなった。何のためのリメイクなのかが当時は正直疑問だったのだが、今思えば何処ぞの誰かにリメイクという名の蹂躙を受けるなら自分でリメイクした方が良いと思ったのかも知れない。そういう意味では、「犬神家の一族」そして「ビルマの竪琴」の二作には、市川崑が特に思い入れがあったのかも。

 あと忘れてならないのが「細雪」。市川の妻 故和田夏十は、四十代で癌を患い、1983年に逝去しているが、かの「市川崑物語」を見れば、死しても市川作品の脚本は彼女と市川との共同執筆であると、市川崑は考えているのじゃないだろうか。で、「細雪」はまさに和田夏十が逝去した83年に完成した作品なのだが、原作である谷崎の名著「細雪」は、非常に内容の濃い超長編小説であったと言うこともあり、それを僅か2時間程度で描ききる自信が市川には無かったそうだが、それを巧みなアレンジで凝縮して描くことを指南したのが、当時病床にあった和田夏十であったと言われる。事実。市川の「細雪」は見事完成し、市川崑の代表作として挙げられる逸品となった。監督であり脚本家であった市川崑であったが、監督の夫と脚本家の妻という夫婦の二人三脚を、たとえ妻が死しても崩すことがなかったと思えてならない。

 一映画ファンとして、感謝の念尽きぬ中に、その九十四年の生涯に思いを馳せ、氏の数々の作品を回顧しながら手を合わせる。合掌

02.10.03:35

アドレナリン

51tDnqM7vtL.jpg「トランスポーター」以降、アクション映画俳優のポジションをすっかり確立した感のあるジェイソン・ステイサム主演のバカ映画。「ロックストック&スモーキンバレルズ」でブレイクし、「スナッチ」「ミニミニ大作戦」等メジャータイトルにも出演したりして正当派英国系俳優の道を歩んでいたかと思ったら、最近は妙にヴァンダム方面ですな。ちなみに、「スナッチ」は監督こそ「ロックストック・・・」と同じだけど主演はブラット・ピットと世間一般では思われてたらいいが、本当の主役はジェイソンでしたな。実より知名度を取ったって事で当時知名度の低かったジェイソンよりブラピの知名度を利用したんだそうで。香港映画で時々ある「ジャッキー・チェン主演(実は共演)」のパターンか。元オリンピック選手という肩書きから、彼のアクション俳優としての素質は充分であることは言うまでもありやせん。流石にどっかのポニーテール我が儘日本人&巨乳好き自称元CIAの「元」とは訳が違う模様。

 思えば「トランスポーター」もバカ映画だったんですよね。特に2(笑。謎の新型ウィルス兵器を投与されてしまった子供を救うために、巨大な悪の組織に一人で刃向かうハゲ。こう書くと「ダイ・ハード」的な話かと思われそうですが、、この「アドレナリン」は御自身がヘンテコな薬を投与されてしまって、タイムリミットまでに解毒剤を何とかしよう!ってお話である。

 で、その薬のどこら辺がヘンテコかと言えば、脳に作用する毒物で、四六時中アドレナリンを放出してなけりゃ即死んじゃうって代物。要するに常に興奮状態でなければならないわけで、激辛スナック食べまくったり、ヘッドバンキングで頭振りまくったり、せっくちゅしまくったり、その設定が馬鹿だわな。

 この馬鹿な役所を妙に真面目くさって演じてるステイサムが妙味w。アドレナリンを出し続けるために本人至って真面目に興奮ネタを探すんですが、端から見てれば「ちょwwおまwww」な状態です。B級らしく序盤から中盤に掛けて非常に盛り上がる割に、後半は無理矢理物語り終わらせましたっつー感じで、最早謎の毒などどうでもいいような感じに思えます。
 映画もバカなら日本版公式サイトもバカ丸出し。行ってみれば判りますが、アドレナリンボタンをパカパカクリックし続けなければ強制退場させられる演出が施されてます。お陰で覗いてみようにも落ち着いて覗いてらんないw。
 ヴァン・ダム亡き後(←死んでねぇよw)、今旬で貴重なB級バカアクションスター。今後も目が離せません。

02.02.17:09

マルサの女

marusa_605gnbr1066pl.jpg昨夜はBS-hiにてマルサの女が放送されました。DVD版の抱き合わせボッタクリ商法のお陰でパッケージ版の入手が出来ていなかった作品故、折角なのでエアチェックなどしてBDに落として保存しちゃおうと思ってたわけ。

 非業の死を遂げた奇才”伊丹十三”の作品の中でも、珠玉中の珠玉が本作。「タンポポ」「御葬式」等で監督としての才覚は既に認知されては居たが、氏を完全無欠のメジャー監督に押し上げたのは紛れもなく本作でしょう。

 本作製作公開の87年といえば、丁度バブルの絶頂期に当たります。当時は893連中が悪徳不動産屋と結託或いは自ら運営して、そこら中の土地を買い漁り地価を高騰させ売り抜けボロ儲けをするという「地上げ」という錬金術が蔓延っておりました。そうした地上げ問題を、「金持ちに於ける死に神的存在w」たる税務署、それも強制捜査権限を有する国税局査察員という職を主人公に据え描き出したのが本作の趣向。脱税と節税の境界線は何処なのかってのは屡々司法の場でも争われることだが、本作では節税ではなく明らかなる脱税をして私腹を肥やしてる男を悪役に据え、それを宮本信子扮する板倉が全てを暴いて悪を成敗するという「勧善懲悪物語」として仕上げてるところが面白い。昨今「格差格差」っつって言われて止まないが、バブル期の格差に比べれば可愛いもんで、当時は正直者が馬鹿を見る経済情勢、悪時で私腹を肥やした輩が好き勝手に暴れていた世相があり、通常税務署なんてのは庶民から嫌われちゃう職な訳だが、そこを逆手にとってヒーローに仕立ててしまう所は、当時としては非常に斬新だったと記憶しています。「マルサ」って言葉は随分流行ったんよね。

 伊丹作品としては、この「マルサの女」から「マルサの女2」「ミンボーの女」「スーパーの女」「マルタイの女」と女シリーズへと引き継がれていくのだが、逆に言えばそうしたある種のパターン化されてしまった方向性からの脱却が、あの悲劇に向かうことになる監督自身の悩みの起点でもあったのかもしれない。

 で、HVだし保存に最適だしって事で録画してたんですが、終盤のクライマックスシーンで突然デカイ文字で
「紀伊水道沖で地震。震度3以上の地域は云々、津波の恐れはありません」
と何度も何度も出てしまいました。仕方ないとはいえ、お陰でエアチェックがパァーっすよ。デジタル化とか言うのなら、文字情報は出ても録画機には出力されないか記録されない様に出来ないもんですかね?まぁ何事もなかったからそう言えるんだと言えばそうですが。

02.01.23:27

2001

51jYA7Mv32L._SS400_.jpg 今夕WOWOWで放送があったらしい「2001年宇宙の旅」。放送自体はスッカリ逃したんですが、そもそも年末に「ブレードランナー」のBOX購入時に一緒に買ってた北米版BDを「そういや」っつー感じで引っ張り出して鑑賞。カミさんも一緒に見始めましたが途中で爆睡してました(笑。なんぼ字幕殆ど不要な作品といえど、日本語吹き替え版でも眠りに誘われてしまう作品ですから仕方ないところか。

 それほどフリークじゃないんですが、人並みにこの作品は好きです。DVDでは国内版のキューブリックコレクション仕様と北米版のスペサルコレクター仕様を所有してましたが、HV仕様もついウッカリ逝ってしまいました。

 今更ですが、この作品は私が産まれるよりも更に前に作られた作品です。私はS44年産まれで本作はS43年製作の作品。アポロ月面プロジェクトの真っ直中に、未来への夢をモッコリ盛り込んで製作されたSF大作であり、アーサーCクラークとキューブリックのコンピレーションで産まれた重厚且つ難解な物語でもありますが、40年近く経過した今見ても、考証的な古さはともかくとして、卓越した映像センスはHV解像度でも全く破綻しません。
 流石に冒頭の類人猿のシーンは、高解像度の影響で特撮丸出しになっちゃってるんですが、それ以外は本作特有の鑑賞者を引き摺り込む映像が健在。っつーか家庭での鑑賞としては過去最高レベルか。

 オーケストラのサウンドも素晴らしい筈ですが、我が家の環境では堪能できず残念。PCMで収録されてるんでデコード出来りゃいいんすけどね。

 久しぶりに最後まで見ましたが、何度見てもラストの「木星と無限」のパートの意味が判りません(笑。知識としてボーマンがモノリスに取り込まれスターチャイルドとして輪廻転生するってのは知ってるんですが、そうした知識無しに見るのであるならば、一体何を示唆する映像だったのか、未だに納得しうる結論に至っていません。つか、キューブリックという人物のキャラから考えれば、固定化した結論に至ってはイカンのかも知れませんな(笑

 意味は判らないのですが、反面このパートの木星の描写は大好きです。人類は木星どころか月でさえアポロプロジェクト以降まともに行けないまま2001年を迎えてしまいましたが、お陰でこの40年も前の作品に未だに夢を見ることが出来ます。LD版→DVD版→北米特別版DVD→BD版とパッケージの変遷を追うように、まんまと担がれて買っちゃってる馬鹿な私ですが、本作に限っては、買い換える度に新しい発見が有るんですよね。そういうのを不朽の名作というのかも知れません。
 
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